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| 2012年5月第21号はこちらからどうぞ (pdfファイルで開きます) | |
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ごあいさつ 5月といえばゴールデンウイーク。だれもがレジャーに胸を躍らせる時期ですが、今年は大型連休2日目の4月29日未明に大変な事故が起きました。群馬県の関越自動車道上り線藤岡ジャンクション付近で、ツアーバスが道路左側の防音壁に衝突、乗客45人のうち7人の方が死亡。14人が重傷、軽傷も24人に上っています(5月1日現在)。 行き先は東京ディズニーリゾートでした。楽しいはずの旅行があっという間の暗転。警察の調べでは、原因は運転手の居眠り運転とのことです。 (続く) |
| 本に関するコラム「たまたま本の話」 第21回 忘れられた「エイルウィン物語」 「世界文学全集」を入手して、ここ最近、楽しく読んでいる。といってもドストエフスキーやトルストイが収められた全集そのものではなく、たった1冊の単行本。実はこれは元「図書新聞」副編集長で文芸評論家の矢口進也が1997年10月、トパーズプレスから刊行した世界文学全集に関する評論集である。帯には「日本初の研究ガイド」とある。日本における世界文学全集の出版は、昭和初期に新潮社が出した「世界文学全集」第1期38巻、第2期19巻が嚆矢とされている。しかしその前の大正14(1925)年、国民文庫刊行会が「世界名作大観」という全集に近い形の叢書を出していた。こちらは全50巻だから、当時としては質量ともに空前の大企画だっただろう。 全50巻の中に異色の2編があると矢口は書く(「明治・大正期の遺産」)。「大正期のいくつかの集成を見ると、英米文学作品が多いことはともかくとして、大体の作品はその後も文学全集的なものにくりいれられて読まれているが、珍しく、この時の紹介のみで終わった作品がある」。それが「エイルヰン物語」(ヲッツ・ダントン、戸川秋骨訳)と「マリ・バシュキルツェフの日記』(野上豊一郎訳)である。「この時の紹介のみで終わった」ということは、以降70年以上、日本では再刊されていないことになる。その一つ「エイルヰン物語」(今の表記なら「エイルウィン物語」)について調べてみて驚いた。あの夏目漱石が、すでに明治32(1899)年8月10日の「ホトトギス」に、この作品の批評を寄せている。引用は「漱石全集第13巻」(1995年2月、岩波書店刊)より。新字、新かなづかいに直した。 (続く) |
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| 2012年4月第20号はこちらからどうぞ (pdfファイルで開きます) | |
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ごあいさつ 歴史に「たら・れば」はありません。しかしこういう記事を読むと「彼がもう少し長生きしていたら」と思わざるを得ません。読売新聞3月23日付朝刊に掲載された「安部公房 ノーベル賞寸前だった」の記事です。 ノーベル文学賞の選考を行うスウェーデン・アカデミーのノーベル委員会のペール・ベストベリー委員長が、読売新聞のインタビューに応じて語ったものです。同氏は、安部が「急死しなければ、ノーベル文学賞を受けていたでしょう。非常に、非常に近かった」と強調したそうです。 (続く) |
| 本に関するコラム「たまたま本の話」 第20回 シュロック・ホームズをご存じ? 前回は世界一有名な探偵シャーロック・ホームズの話。今回はシュロック・ホームズについて紹介したい。シュロックは、エンジニアにして作家のロバート・L・フィッシュが創造した探偵で、短編30数作で主役を務める(最初の短編集の邦訳は「シュロック・ホームズの冒険」、深町真理子ほか訳、1977年3月、ハヤカワ・ミステリ文庫刊)。その名推理ぶりをとくとご覧いただきたい。以下、いつものように内容に触れているので未読の方はご注意を。 シュロックの元に相談にやってきた女性依頼人を一目見て、彼はこう喝破する(「アスコット・タイ事件」吉田誠一訳)。「あなた(依頼人ミス・ウィンポール)が片鞍乗馬に凝っておられ、最近ラブレターをお書きになり、ここへおいでになる途中炭坑にお立ち寄りになったということ以外には、残念ながら、あなたの問題は皆目わかりません」。まるでご本家シャーロック・ホームズの「こちらは以前、手仕事をしていた。嗅ぎタバコをやる。フリーメーソンの会員で、中国に行ったことがある。最近かなりたくさん書き物をしていた。そこまでははっきりしているが、それ以上はぼくにも想像がつかないよ」(「赤毛連盟」中田耕治訳)を彷彿とさせる名調子だ。 (続く) |
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| 2012年3月第19号はこちらからどうぞ (pdfファイルで開きます) | |
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ごあいさつ 今年も3月11日がやってきます。あれから1年になります。改めて東日本大震災で被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。 この1年間、皆さんはどのように過ごされましたか。本を読むような状況ではなかったよ、そうおっしゃる方も多いことと思います。逆に無性に本を読みたくなったという方もいらっしゃることでしょう。 (続く) |
| 本に関するコラム「たまたま本の話」 第19回 今に生きるシャーロック・ホームズ ロンドンのベイカー・ストリート221番地B宛てに、業務依頼やファンレターなど、たくさんの手紙が届くようになったのは、19世紀末から20世紀初頭にかけてである。ところがその宛て先は実際に存在しないものだったため、ロンドン中央郵便局は専門の係を置いて膨大な数の手紙の処理に当たっていたという。医者で作家のコナン・ドイルが生み出した架空の名探偵シャーロック・ホームズが、実在の人物以上に人々に愛されたことを示すエピソードである。 そのホームズが、またもや映画化されたこともあって、ちょっとしたブームになっている。書店では新訳を含めた作品集が山積みにされている。ホームズものの短編の中で1、2を争う傑作とされる「ゆがんだ唇の男」が「シャーロック・ホームズ傑作選」(中田耕治訳、1992年11月、集英社文庫刊)に収められているので、久々に読み返してみた。内容に触れているので未読の方はご注意を。 (続く) |
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| 2012年2月第18号はこちらからどうぞ (pdfファイルで開きます) | |
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ごあいさつ 1月末ごろから、またも日本列島に地震が頻発しています。「4年以内に70%の確率でマグニチュード7クラスの首都直下型地震が起きる」とは東大の地震研究所による試算ですが、その発表があった直後、山梨や日向灘を震源地とするマグニチュード4超の地震が発生しました。昨年の東日本大震災からもうすぐ1年です。地震があるたびに、われわれはあの未曽有の被災体験の記憶を呼び起こされることになります。 1冊の本が売れていると聞きました。「地名に隠された『東京津波』」(講談社+α新書)。今年1月に出たばかりの本で、地名に関する著書が多い筑波大学名誉教授でノンフィクション作家の谷川彰英さんが書き下ろしました。 (続く) |
| 本に関するコラム「たまたま本の話」 第18回 史上で最も偉大な短編 「創元推理文庫」創刊50周年を記念して、2010年12月、発行元が「東京創元社 文庫解説総目録 1959.4-2010.3」(高橋良平+東京創元社編集部編)を出した。本編と資料編が2冊セットになった豪華本で、眺めていると時間を忘れるほど楽しい。1959(昭和34)年4月の創刊から50余年に及ぶ歴史を振り返りながら、創元推理文庫史上最高の短編集、最高の短編は何だろうかと思った。 同文庫創刊の2年後、短命に終わったが「創元ブックス」という新書サイズの叢書が4冊出ている。その第1回配本(1961年7月)は「スポンサーから一言」(ともう1冊)。1963年9月には同文庫にSF部門が新設され、第1回配本は「未来世界から来た男」だった。「スポンサー」「未来世界」ともに作者はフレドリック・ブラウン。つまりブラウンこそは東京創元社が社運をかけてトップバッターに送り出すドル箱作家だった。 (続く) |
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| 2012年1月第17号はこちらからどうぞ (pdfファイルで開きます) | |
| ごあいさつ 明けましておめでとうございます、という新年恒例のごあいさつを、2012年は申し訳ありませんが控えさせていただきたく思います。 昨年3月11日に起きた東日本大震災で、日本は甚大な被害を受けました。被災地で寒く不自由な冬を迎えている方々の気持ちを思えば、とてもではないですが祝賀の気分にはなれません。それが理由の第一です。しかしそれだけではなく、日本から世界全体に目を移しても、2012年という年がきわめて先行き不透明かつ不安定であること。それが第二の大きな理由です。 (続く) |
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| 本に関するコラム「たまたま本の話」 第17回 ちょこっとドストエフスキー このほど三笠書房の知的生きかた文庫で「90分で読む! 超訳『罪と罰』」が刊行された(2011年11月)。原作者はもちろんフョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー。19世紀ロシアを代表するこの文豪の代表作を、東京・西荻窪で古書店(古書比良木屋)を経営する日比野敦が訳し下ろした。 新潮文庫版で上下2巻、岩波文庫版では上中下3巻、近年話題になった亀山郁夫訳の光文社古典新訳文庫版でも1~3巻と、大部にわたる小説をわずか300ページの文庫本1冊に収めるというのは、無謀な試みである。しかしこれがなかなか面白い。 (続く) |
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| 2011年12月第16号はこちらからどうぞ (pdfファイルで開きます) | |
| ごあいさつ やはり強かったですね、「なでしこジャパン」。試合の話ではありません。毎年恒例の「2011ユーキャン新語・流行語大賞」が12月1日に発表され、堂々のトップに輝いたのがその言葉でした。 2位以下を列記すると、「帰宅難民」「絆」「こだまでしょうか」「3・11」「スマホ」「どじょう内閣」「どや顔」「風評被害」「ラブ注入」。東日本大震災関連の言葉がトップテン中5件を占めています。選からはもれましたが、ほかにも「ただちに健康に被害を与えるレベルではない」「計画停電」「ポポポポ~ン」などの言葉が思い浮かびます。 (続く) |
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| 本に関するコラム「たまたま本の話」 第16回 マリリン・モンローとベン・ヘクト 亀井俊介といえば、東京大学教授を務めたアメリカ文学の権威である。アメリカ大衆文化にも詳しく、1987年7月には著書「マリリン・モンロー」を岩波新書で刊行した。東大の先生が天下の岩波からモンローの本を、と当時、話題になったものである。その中にこんな一節がある。「マリリン・モンローの伝記類もおびただしく出ている。(中略)一つ不思議な本もある。マリリン・モンローが著者となり、『私の物語(マイ・ストーリー)』(1974年)と題している本だ。(中略)これはボヘミアン的な作家兼ジャーナリストとして知られるベン・ヘクトと、マリリンとの協力によって出来たものらしい。だがベン・ヘクトは1964年に死んでいる。同書のカバーには、マリリンが原稿を彼女のフォトグラファーとして有名なミルトン・グリーンに与えた、とのみ記されている」 (続く) |
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| 2011年11月第15号はこちらからどうぞ (pdfファイルで開きます) | |
| ごあいさつ ネット古書店という商売を始めて、気がつけばもう7年が経ちました。これもひとえに皆様方のご愛顧の賜物と、改めて深く感謝申し上げます。 9月のある日、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)ゆかりの地・松江を旅しました。松江駅の近隣を散策していたら、古本屋さんが1軒ありました。さっそく入ってみますと、実に懐かしい、昔ながらの古本屋さんの匂いがしました。 (続く) |
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| 本に関するコラム「たまたま本の話」 第15回 異色の短編「信・望・愛」 江戸川乱歩が編集した「世界短編傑作集」(創元推理文庫)全5巻には、1860年に書かれたウィルキー・コリンズ「人を呪わば」から1950年のディビッド・C・クック「悪夢」まで、44編の傑作短編が年代順に収められている。いずれ劣らぬ珠玉の名品ぞろいだが、一番の異色作は第4巻(1961年4月刊)に収められている「信・望・愛」(1930年)だろう。 作者はアーヴィン・S・コッブ。専門のミステリ作家ではない。評論家の中島河太郎によれば、「アーヴィン・S・コッブはアメリカのジャーナリストであり、ユーモリストであり、また劇作家であった。1876年に生まれ、『ニューズ・デモクラット』の編集長などをはじめ、『サタデイ・イヴニング・ポスト』『コスモポリタン』誌などのスタッフとなったりした一方、ユーモア小説や短編集を著している。また映画脚本も手がけていて、1944年に死去した」(同書解説)とある。 (続く) |
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| 2011年10月第14号はこちらからどうぞ (pdfファイルで開きます) | |
| ごあいさつ 「あなたが受賞者に決定いたしました」という電話連絡に、「実は本人は3日前に亡くなってしまいまして…」と家族が答えざるを得ない状況でした。10月3日、2011年のノーベル生理学・医学賞に3氏が決定しました。ところがそのうちの1人、ラルフ・スタインマン米ロックフェラー大教授(カナダ人)は、9月30日にすい臓がんのため68歳で死去していました。 (続く) |
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| 本に関するコラム「たまたま本の話」 第14回 史上最高の名探偵はだれか 1841年、エドガー・アラン・ポーが「モルグ街の殺人」という1編の小説を書き、オーギュスト・デュパンなる1人の人物に殺人事件を解決させた。これが探偵を主人公とした小説の嚆矢とされる、とは推理小説史のイロハのイである。以来、シャーロック・ホームズ(作者はアーサー・コナン・ドイル)、ブラウン神父(G・K・チェスタトン)、アルセーヌ・ルパン(モーリス・ルブラン)、エルキュール・ポアロ(アガサ・クリスティー)、エラリー・クイーン(同名)、明智小五郎(江戸川乱歩)、ギデオン・フェル博士(ジョン・ディクスン・カー)など、ミステリーには洋の東西を問わず、無数の名探偵ないしそれに該当する人物が登場し、現場に残されたわずかな証拠から事件を解決していくことになる。 (続く) |
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| 2011年9月第13号はこちらからどうぞ (pdfファイルで開きます) | |
| ごあいさつ 8月30日、民主党の野田佳彦代表が衆院本会議で第95代、62人目の首相に指名されました。 野田氏は昭和32年生まれの54歳。国民は震災後の日本のかじ取り役を、この戦後2番目の若さでの就任となるニューリーダーに任せることになります。 同氏の勝因の一つは29日の代表選の投票前の演説にあった、と読売新聞8月30日付首都圏版夕刊は書いています。 (続く) |
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| 本に関するコラム「たまたま本の話」 第13回 ロンドンの霧が書かせた傑作 1949年のこと。かの大御所、エラリー・クイーンがミステリに精通した24人の関係者(自身を含む小説家、批評家など)にアンケートを実施した。内容は「古今東西を通じて12編のベストミステリ短編を選んでほしい」というもの。テーマがあまりにも大きかったせいか、アンケートに回答を寄せたのは半数の12人に留まった。得票は最高で12票ということになる。 (続く) |
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| 2011年8月第12号はこちらからどうぞ (pdfファイルで開きます) | |
| ごあいさつ 7月29日付の読売新聞朝刊を見て驚きました。作家の小松左京さんが同26日、肺炎のため80歳で亡くなった記事が載っていました。 「大阪市生まれ。京都大在学中から作家の高橋和巳と同人誌で創作を始める。経済誌の編集やラジオ台本作家などを経て、1962年『SFマガジン』からSF作家としてデビュー」と記事は故人の経歴を書き始めていますが、小松さんといえばやはり「日本沈没」でしょう。上下巻合わせて400万部が売れました。 (続く) |
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| 本に関するコラム「たまたま本の話」 第12回 カーのトリックに物申す? かつてこの人の書く作品を「この世にこんなにおもしろいものがあっていいのだろうか?」と評したのは、ミステリ評論家の故・瀬戸川猛資である。その言い草がふるっている。「駄作・バカ作の呼び声高い『剣の八』や『パンチとジュディ』も許してしまう。『五つの箱の死』『魔女が笑う夜』『孔雀の羽根』あたりになると、もう感動あるのみである」(「夜明けの睡魔」、1999年5月、創元ライブラリ刊より)。この人の書いた作品の出来栄えにひたすらひれ伏しているのかと思いきや、「要するに、何でもいいのだ」「やみくもに好きなだけである」と、まるであばたもえくぼの惚れ込みようである。 (続く) |
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| 2011年7月第11号はこちらからどうぞ (pdfファイルで開きます) | |
| ごあいさつ 7月、いよいよ節電月間のスタートです。この夏の電力危機を避けるため、政府が電気事業法27条に基づく「電力使用制限令」を発動したもので、対象は東京電力と東北電力両管内の大規模工場、オフィスビル、商業施設など。同令発動は第一次石油ショックの1974年以来、37年ぶりとのことです。 (続く) |
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| 本に関するコラム「たまたま本の話」 第11回 池澤夏樹が読みほどく「白鯨」 スタンダール「パルムの僧院」、トルストイ「アンナ・カレーニナ」、ドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟」、メルヴィル「白鯨」、ジョイス「ユリシーズ」、マン「魔の山」、フォークナー「アブサロム、アブサロム!」、トウェイン「ハックルベリ・フィンの冒険」、ガルシア=マルケス「百年の孤独」、池澤夏樹「静かな大地」、ピンチョン「競売ナンバー49の叫び」。 どこかの世界文学全集のラインナップかと思えば、さにあらず。作家・池澤夏樹が京都大学文学部の夏期特殊講義で取り上げた作品である。講義は2003年9月15日から21日にかけて行われ、それらをまとめた講義録が2005年1月、新潮社から「世界文学を読みほどく―スタンダールからピンチョンまで」のタイトルで刊行された(現在でも売れていて、新潮選書の文学部門で年間売り上げベスト3位にランクされたとも聞く)。 (続く) |
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| 2011年6月第10号はこちらからどうぞ (pdfファイルで開きます) | |
| ごあいさつ 東日本大震災から3か月が経ちました。被災地の皆さんにとってはまだ心休まらない日々が続きます。改めて心からお見舞い申し上げます。 震災後も日本ではさまざまな事件が起きています。毎日の新聞を読んでいて思うことは、悪意に満ちた犯罪は論外にしても、ちょっと気をつければ防げた事故や、明らかに人災と思われる過失などが目立つことです。 (続く) |
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| 本に関するコラム「たまたま本の話」 第10回 ポーの2匹目の黒猫 ずっと前に読んだ小説について、ストーリーの細部を間違って覚えていたことに気づき、ハッとするケースがある。 エドガー・アラン・ポーの名作短編「黒猫」を先日、光文社古典新訳文庫版(「黒猫/モルグ街の殺人」2006年10月刊、小川高義訳)で読み直してみた。 (続く) |
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| 2011年5月第9号はこちらからどうぞ (pdfファイルで開きます) | |
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ごあいさつ まだ3・11の傷が癒えるどころか、むしろ絶望感が日増しに強まって来ている日本に、5月2日、驚くべきニュースが飛び込んできました。9・11米同時多発テロの首謀者で国際テロ組織アル・カイーダの指導者、ウサマ・ビンラーディン容疑者が米軍によって同1日に殺害されたとの報道です。 21世紀幕開けの年に起きた、あの戦慄すべき同時多発テロから今年で丸10年になります。 (続く) |
| 本に関するコラム「たまたま本の話」 第9回 またもやチェスタトン 今回もG・K・チェスタトンとブラウン神父について書かせていただく。 5冊のブラウン神父もの短編集の最終巻「ブラウン神父の醜聞」(1935年)に、「古書の呪い」という作品が収められている。創元推理文庫の解説目録によれば「5人の人物が全員消失するという、アガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』に先んじたような、実に例のない作品」とされている。 まあ、クリスティのオールタイムベスト作に比べるような出来栄えとも思えないが、1997年に集英社文庫で刊行されたアンソロジー「世界の名探偵コレクション3 ブラウン神父」でも、ミステリ評論家の新保博久がブラウン神父ものの傑作として選んでいるほどだから、ついつい語りたくなる何かを持っている作品であるといえるだろう。 (続く) |
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| 2011年4月第8号はこちらからどうぞ (pdfファイルで開きます) | |
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ごあいさつ 2011年3月11日を境に、日本という国がすっかり変わってしまったように思います。 地震と津波だけではなく、その後も首都圏の計画停電・節電、物資の欠乏、そして福島第1原発事故による放射能汚染が続いています。被災を免れた者にも何かできないか。そう模索していたらこんな記事を読みました (続く) |
| 本に関するコラム「たまたま本の話」 第8回 再びチェスタトンについて 芸のない話で恐縮だが、3月に続いて今回もG・K・チェスタトンについて。経済学者として出発し、類いまれなる学識によって幅広くヨーロッパ文化の領域にまで踏み込んだ著作を数多く残している論客に、高橋哲雄がいる。この人がミステリー評論の世界でも際立った仕事をしていることは、さほど知られていない。 (続く) |
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| 2011年3月第7号はこちらからどうぞ (pdfファイルで開きます) | |
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ごあいさつ 3月、ようやく春の訪れを感じる季節になりました。 けれども世界の情勢を見回せば、のどかな春の訪れを感じるどころではありません。1月のチュニジア政変に端を発した反体制デモは、エジプト、イラン、リビアなどの中東各国に波及、拡大していきました。いずれも長期にわたる独裁政権打倒に向けて市民が蜂起したという構図で、とすればそれら各国と友好関係を結んでいる「あの国」はどうなのか、気になります。(続く) |
| 本に関するコラム「たまたま本の話」 第7回 チェスタトンと「見えない人」 イギリスの作家、批評家のギルバート・キース・チェスタトン。1874年、ロンドンのケンジントンに生まれ、1936年に没した。数々の作品を残したが、何といっても著名なのは短編推理小説の古典「ブラウン神父」シリーズである。いかにも冴えない容貌のカトリック教会の神父ブラウンが、人並み外れた慧眼と論理で難事件の謎を解いていく。その意外性が面白い。おそらく推理小説史上、コナン・ドイルのシャーロック・ホームズと双璧をなすほど有名なキャラクターであろう。 このブラウン神父シリーズについて、面白いことを言っている人がいる。SFの翻訳家で小説も書いている鏡明である。その鏡の言い分を、卓越した批評家でありエッセイストであった故・瀬戸川猛資があるエッセー(「夜明けの睡魔」所収、1999年5月、創元ライブラリ刊)で紹介していた。「彼(鏡)はチェスタトンが嫌いである。とりわけ、ブラウン神父ものの代表的短編である『見えない人』を、『あんな愚作はない』といってけなす」(続く) |
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| 2011年2月第6号はこちらからどうぞ (pdfファイルで開きます) | |
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ごあいさつ 2月4日は立春。しかしまだまだ寒さが続きます。 1月26日付の読売新聞首都圏版朝刊に、こんな記事が載っていました。「英国の出版業界で、かつての名作の筆者を代え、続編を新たに出版するケースが相次いでいる。古典的な人気を誇る主人公が活躍する物語の『その後』を、作者の親族などのお墨付きを得た現代の作家が執筆するもので、出版業界にとっては確実に一定の読者が見込めるという利点がある」(続く) |
| 本に関するコラム「たまたま本の話」 第6回 ロアルド・ダール、創作の秘密 今回はお待ちかね(?)、ロアルド・ダールの話。ここで彼の定評ある短編小説や世界中でよく売れる童話作品について書くのも芸がないので、ちょっと違った角度からダールという作家を眺めてみたい。 「キス・キス」(「異色作家短篇集 改訂版」第1巻、1974年9月、早川書房刊)はダールの第3短編集。扉に「この本をP・N・Dにおくる」と献辞がある。訳者の開高健はそれについて一言も触れていないが、このイニシャルがパトリシア・ニール・ダールの略であるのは間違いない。 (続く) |
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| 2011年1月第5号はこちらからどうぞ (pdfファイルで開きます) | |
| ごあいさつ 新しい年が明けました。おめでとうございます。 旧年中は多くの皆様に、ほんのたまごをご利用いただきましてありがとうございました。開業8年目を迎え、本年もスタッフ一同、全力で頑張ってまいりますので、何とぞご愛顧のほどよろしくお願い申し上げます。 昨年、一番印象に残った出来事は、何と言っても中国の民主活動家、劉暁波さんのノーベル平和賞受賞でした。12月10日の授賞式の会場に、劉さんは不在。本人、親族とも不在のまま授賞式が行われたのは、1935年の平和賞を受賞したドイツの平和活動家、カール・オシエツキーさん以来のことになります。 今回の劉さんの受賞に対する中国政府の姿勢には、様々な意見があることでしょう。それに関してはここでは述べません。(続く) |
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| 本に関するコラム「たまたま本の話」 第5回 エリンとビアスの奇妙な関係 スタンリイ・エリンの代表作といえば、言うまでもなく短編「特別料理」(1948年発表)であろう。「異色作家短篇集 改訂版」の第2巻「特別料理 スタンリイ・エリン」(1974年9月、早川書房刊)でこの小説と出会ったのは35年以上も前だが、いまだにそのときの衝撃が脳裏を離れない。 先日、その「特別料理」を久々に読み返した。こんな一節に目が留まった。料理店主スピローに、得意客である会社社長のラフラーとその部下コステインが、調理場を見た客がいるのかと尋ねる場面だ。(続く) |
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| 2010年12月第4号はこちらからどうぞ (pdfファイルで開きます) | |
| ごあいさつ いつもほんのたまごをご利用いただきましてありがとうございます。 ちょっと堅い話で恐縮ですが、11月30日、「改定常用漢字表」が内閣告示されました。1981年に1945字が制定されて以来、29年ぶりの見直しになります。今回は合計2136字(5字削除、196字追加)が新・常用漢字に指定されました。 追加196字の中には「熊」「奈」など、今まで当然、常用漢字に含まれていなければならなかったものもあれば、「鬱」「曖」「彙」など、読めても多くの人が書けないだろうというものもあります。(続く) |
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| 本に関するコラム「たまたま本の話」 第4回 ヘンリイ・スレッサーの短編技法 星新一と阿刀田高といえば、当代きっての短編作家である。この2人がそろってロアルド・ダールをそれほど買っていないのは面白い。ダールの名作短編集「飛行士たちの話」(1981年7月、ハヤカワ・ミステリ文庫刊)の解説で阿刀田は、あるパーティーの席上で星とダール談義をしたときのことを書いている。「評価の厳しさに差はあるけれど、“ダールにも結構愚作がある”という点で一致したのはすこぶる愉快であった」 注目すべきはこの後の文章で、阿刀田は別の作家の名を挙げて褒め上げている。「ダールと味わいのよく似た、もう一人の異色短篇作家にヘンリイ・スレッサーがいるけれど、打率が高いという点で言えば、スレッサーのほうがダールより断然上なのではあるまいか。つまりスレッサーの作品は読んで失望させられることが少ない。まず7、8割がたは満足できる出来ばえだ」。ダールに比べてここまで阿刀田に評価されるスレッサーとは、どんな作家なのか。(続く) |
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| 2010年11月第3号はこちらからどうぞ (pdfファイルで開きます) | |
| ごあいさつ いつもほんのたまごをご利用いただきましてありがとうございます。 毎年恒例、神保町の「神田古本まつり」が今年も10月27日から11月3日まで行われました。予想外の台風14号にぶつかりましたが、ぶじに会期も終了。「神保町の青展(青空掘り出し市)が終わると、今年の仕事もそろそろ終盤に入るなあ、と感じる」❘ある古書店主が言っていました。 古本を買う立場としても全く同感です。毎年100か所以上、関東各地の古本即売会を回りますが、青展の開催が終わると、時間があっという間に過ぎていき、気がつくと年の瀬になっています。(続く) |
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| 本に関するコラム「たまたま本の話」 第3回 ジョルジュ・ランジュランはスパイだった フランスで1950年代から70年代初頭にかけて活躍した作家に、ジョルジュ・ランジュラン(1908~1972)という人がいる。イアン・フレミングの007シリーズが世界的なブームを巻き起こした60年代に、「NATO情報部員シリーズ」と呼ばれる国際スパイ小説を数多く書き、好評を博した。我が国でも同シリーズの1作「魚雷をつぶせ」が早川書房から翻訳出版されている(原著64年、邦訳74年刊、現在は絶版)。 しかしランジュランの代表作といえば、何と言っても短編「蠅」だろう。53年に創刊された「ファンタジイ&サイエンス・フィクション」誌のフランス語版創刊号に掲載された。(続く) |
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| 2010年10月第2号はこちらからどうぞ (pdfファイルで開きます) | |
| ごあいさつ いつもほんのたまごをご利用いただきましてありがとうございます。人と本との出会いをコーディネイトするインターネット古書店としてデビューしてから、はや6年が過ぎました。前回も書きましたが、この間の古本業界の急激な変貌ぶりには驚かされます。 最近では街の古本屋さんを知らない、新古本屋(しんこぼんや)と呼ばれている一部の大手古書チェーンにしか行ったことがない、という古本ファンもいらっしゃるそうです。古本だけでなく新刊本をネットでしか注文したことがない方も、もはや少数派と言えなくなっているのかもしれません。(続く) |
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| 本に関するコラム「たまたま本の話」 第2回 「思考機械」とジャック・フットレル オーガスタス・S・F・X・ヴァン・ドゥーゼンは、哲学博士(PH.D.)、法学博士(LL.D.)、王立学会会員(F.R.S.)、医学博士(M.D.)、歯科博士(M.D.S.)であり、アメリカはボストン地区の某大学教授。名前と肩書でアルファベットのほとんどの文字を使ってしまうという驚くべき人物だが、この人物のことをわれわれは名前で呼ばず、「思考機械(The Thinking Machine)」というニックネームで呼んでいる。 もちろんこれは実在の人物でなく、アメリカの作家ジャック・ヒース・フットレルが小説の中で作り上げた天才的探偵である。(続く) |
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| 2010年9月第1号はこちらからどうぞ (pdfファイルで開きます) | |
| ごあいさつ ほんのたまごはインターネット専門古書店として2004年10月に開業いたしました。 まさに古書業界が大きな変革を見せ始めるその時期に産声を上げ、現在開業7年目を迎えております。これもひとえに皆様方のご愛顧の賜物と深く感謝申し上げます。 店舗を持たないネット古書店の増加や、「日本の古本屋」の充実ぶり、そしてアマゾンの古書取り扱い分野への参入など、ここ数年の古書業界の急激な変貌ぶりには驚かされます。ネットスキルなくしてはもはや古書店経営は難しいのではないか、そんなふうにも思えます。昨今の電子書籍ブームがさらにそれに輪をかけているようです。(続く) |
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| 本に関するコラム「たまたま本の話」 第1回 3つの「異色作家短篇集」 「異色作家短篇集」は、1960年から刊行された早川書房の海外短編小説集の叢書である。 内容はミステリ、SF、ホラー、ファンタジー、ユーモアなど多岐にわたっている。人間の目をクローズアップした装丁の、ちょっと小型の箱がおしゃれな、いかにも翻訳文学の専門出版社らしい企画だった。(続く) |
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